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水戸家庭裁判所土浦支部 平成11年(少)141号 決定 1999年4月28日

少年 I・K子(昭和59.7.13生)

主文

本件を茨城県中央児童相談所長に送致する。

理由

(非行事実)

少年は、母親及び妹2人とともに住居地において生活していたが、平成11年2月9日、遊び癖から家出をし、東京都新宿区歌舞伎町界隈を徘徊しながら、テレホンクラブやナンパを通じて知り合った不特定多数の男性とともにカラオケ等に遊びに行って小遣い銭をもらったり、そのようにして知り合った男性宅に寝泊まりしたりするうちに、ホストクラブに通い始め、同店でこしらえた約20万円の借金の返済に窮して、同年4月4日から同月6日までの間、東京都豊島区池袋所在のファッションヘルスで働き、男性客に対して、手淫、口淫等の性的サービスを提供し、もって、保護者の正当な監護に服さない性癖があり、正当な理由なく家庭に寄り附かず、いかがわしい場所に出入りし、自己の徳性を害する性癖があり、かつ、このまま放置すれば、少年の性格及び環境に照らし、将来売春防止法違反等の罪を犯す虞がある。

(法令の適用)少年法3条1項3号イ、ロ、ハ、ニ

(処遇の理由)

1  本件は、わずか14歳である少年が、遊びたい一心で家出をし、東京の繁華街を徘徊しつつ、そこで知り合った男性らに寝食の面倒を見てもらいながら生活していたが、行きつけのホストクラブへの借金がかさんだことから、その返済のために性風俗店で働くようになったという事案である。

少年は、その精神的、社会的な未熟さから、物事の当否を深く考えることなく、自分に対して注意を向け親切に接してくれる異性の言うがままに流されて生活するうちに、性に対する良識が麻痺していったものと認められ、その非行性の度合いは決して軽視することができない。

2  家庭環境を見ると、少年は、小学校4年生のころに両親が離婚したことから、親権者である父親方に姉とともに引き取られたが、父親が過度の体罰を伴う厳しい躾をするなどしたため、小学校6年生のころから何度も家出を繰り返すようになり、これを見かねた母親が、平成10年10月ころから少年を預かることになった。

母親は、少年のほかに小学生の娘2人を抱え、生活していくのに精一杯であることや、あくまで少年を父親から一時的に預かった形であることなどから、少年のことを心配しながらも、これまで十分な監護ができない状態にあったが、本件を契機として、少年が親子の情愛を渇望していること、とりわけ母親である自分を頼りにしていることなどに思い至り、少年の保護環境を整備するために父親らと話し合うなどして、監護の意欲を示している。

しかしながら、本件事案の性質、これまでの家庭環境、少年の性格、行動歴、心身の発達状況等に照らすと、母親による監護のみで少年の問題点を直ちに改善することは困難といわざるを得ない。

3  そこで、これらの諸事情を考慮し、少年を児童福祉法上の措置に委ね、在宅のまま専門機関による継続的指導を受けさせるのが相当であると判断した。

よって、少年法23条1項、18条1項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 木野綾子)

〔参考〕 少年調査票<省略>

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